そんなトチノキの木肌の色は、全体に淡い紅黄白色から淡黄褐色をしています。材面に絹のような光沢があり、リップルマーク(さざ波模様)がみられます。軽軟で木肌は綿密。綺麗な木目がでることが多く、非常に好まれますが、狂いやすく腐りやすいため建築木材よりは家具、器具材、楽器材、椀や盆に使われています。
中でも、材面に波状杢や縮杢などがみられる物は工芸価値が高く、器や茶道具の木材として珍重されています。
トチノキは木肌に独特の模様を見せるため、木目を見せる「拭き漆」などの技法を用いた作品作りに多く使用されています。しかし、年々手に入りにくくなっており、大皿などに使用するような大きい木材はほとんど手に入らないと言っていいでしょう。
また、辻椀木地木工芸でトチノキを扱う場合、ほとんどが「縦木」を使用します。しかし、トチノキの木目を最大限に見せたいのであれば「横木」を使用する方がトチノキの木目の特徴を最も引き出すことができます。
トチノキの横木は、荒型(材料)屋さんに注文するか、あるいはWEBで通販などを利用する方法があります。荒型屋さんによっては、縦木、もしくは横木のみを扱っている場合があるため、確認をしながら材料を注文することになります。
※横木と縦木の違いについては別の項で触れようと思います。